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福岡地方裁判所 昭和53年(わ)102号 判決

本籍

福岡県飯塚市大字柏の森八二八番地

住居

福岡市南区長住二丁目一二番九号

職業

キャバレー等経営

中村嘉磨

昭和一〇年三月一〇日生

所得税法違反被告事件

検察官

玉那覇繁吉 出席

主文

被告人を懲役一年二月および罰金二千万円に処する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間、被告人は労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、福岡市博多区中洲においてキャバレーなど三店舗と飲食店「スナックインディアーナ」を、同市中央区舞鶴において喫茶店一店舗を経営しているものであるが、所得税を免れようと企て、

第一、昭和四九年分の総所得金額は八、二八六万六、二六八円で、これに対する所得税額は四、七三〇万五、五〇〇円であるのに、売上の一部を除外して架空名義の定期預金等に預け入れ、右の「スナックインディアーナ」については被告人の従業者である合志政治が経営しているように装って同人名義で申告するなどの行為により所得の一部を秘匿したうえ、同五〇年三月一五日、同市東区馬出一丁目八番一号所在の博多税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は一、五三七万三、四〇〇円で、これに対する所得税額は四五四万二、七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税四、二七六万二、八〇〇円を免れ、

第二、昭和五〇年分の総所得金額は一億八三八万一、七四七円で、これに対する所得税額は六、五七四万七〇〇円であるのに、前同様の行為により所得の一部を秘匿したうえ、同五一年三月一五日、前記博多税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は二、一八一万九、五〇八円で、これに対する所得税額は七三〇万三、四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税五、八四三万七、三〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき被告人の当公判廷における供述のほか二回公判調書中検察官証拠等関係カード記載の番号18ないし32、37、39ないし46、48ないし57、59、64ないし73、75ないし85、87ないし90、92、94ないし113、115ないし129、131、132、137、139ないし152、154、156ないし160、162ないし187、193、194、195、198、201ないし225の各標目と同一であり、判示(一)事実につき右カード記載の番号1、2、7、10、13、16、33、36、74、188、192、197の各標目と同一であり、判示(二)事実につき同カード記載の番号3、4、8、11、14、17、34、35、58、60、63、86、91、93、130、133ないし136、138、155、161、189、190、191、196、199、200の各標目と同一であるから、それぞれの同一部分を引用する。

(適条)

判示(一)事実と判示(二)事実のそれぞれにつき所得税法二三八条一項二項(懲役に罰金を併科し、罰金は免れた所得税の額に相当する金額以下とする)。判示(一)(二)事実につき刑法四五条前段。懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情の重い判示(二)の罪の刑に法定加重)、二五条一項。罰金刑につき同法四八条二項、一八条。

(裁判官 田尻惟敏)

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